【図解】火山岩・深成岩・堆積岩・変成岩を詳しく解説!

【図解】火山岩・深成岩・堆積岩・変成岩を詳しく解説!

私たちの身の回りにあふれている「石」。右を見ても左を見ても石、石、石!

山や川など自然の中に転がっているだけではなく、私たちの生活に欠かせない材料としても活用されています。

そんな当たり前に目にする岩石がどのようにして生まれ、どんな物語を持っているか考えた事はありますか?
実は石ひとつひとつに地球の歴史が刻み込まれています。

今回は岩石が語る地球の物語を、図解でわかりやすくまとめてみました。

 

1.岩石の種類

岩石の起源
岩石は「火成岩」「堆積岩」大きく2つ分けられます。
 

①火成岩

マグマ
地球の地殻(地球の表層)で一番多い岩石が、この火成岩です。読んで字のごとく、火(マグマ)によってできた岩石です。たくさんの種類の鉱物 (結晶) やケイ素(ガラス)などの物質によってできています。

火成岩は生まれ方によって「火山岩」と「深成岩」という2つの種類に分けられます。
 

①-A.火山岩

噴火などでマグマが地表に出てくるなど、短時間で冷えて固まった岩石。
 
▼火山岩の代表例
流紋岩 角閃石安山岩 玄武岩
流紋岩  角閃石安山岩 玄武岩
白っぽい 黒っぽい
 
【火山岩の種類】
  • 超塩基性岩(超苦鉄質):蛇紋岩(じゃもんがん)など
  • 塩基性岩(苦鉄質):玄武岩(げんぶがん)など
  • 中性岩:安山岩(あんざんがん)など
  • 酸性岩(珪長質):流紋岩(りゅうもんがん)、粗面岩(そめんがん)、響岩(きょうがん)、デイサイトなど

 【ちょっと補足】岩石の塩基性・酸性について

岩石でいう塩基性、酸性という言葉は、二酸化ケイ素(ガラス質)の含有率によって分類するための用語です。化学の塩基性(アルカリ性)・酸性とは全く関係がないので誤解を招きやすく、地質学の現場では使われなくなってきているようです。

 

①-B.深成岩

地下深くでゆっくりと時間をかけて冷えて固まった岩石。地殻変動で地層が盛り上がったり、川などに浸食されて地表に出てきます。
 
▼深成岩の代表例
花こう岩 閃緑岩 斑レイ岩
花崗岩
(花こう岩)
閃緑岩
(せんりょく岩)
 斑糲岩
(斑れい岩)
白っぽい 黒っぽい
 
【深成岩の種類】
  • 超塩基性岩(超苦鉄質):橄欖岩(かんらんがん)、キンバーライトなど
  • 塩基性岩(苦鉄質):斑糲岩(はんれいがん)など
  • 中性岩:閃緑岩(せんりょくがん)など
  • 酸性岩(珪長質):花崗岩(かこうがん)など

 【豆知識】どうして深成岩が地表で見られるの?その理由とは

地下深くで冷やされてできた深成岩がどうして地上で見られるのか不思議に思った人も多いはず。考えられるのは以下の理由です。

①プレート同士がぶつかり合うなど地殻変動により地盤が隆起して地上に上がってきた。

②さらに地表が雨や川などによって浸食、風化が進み、深成岩が地表に現れた。

 

②堆積岩(たいせき岩)

砂や泥など小さな粒子、礫(れき:小石)などが川の水などによって流され堆積し、長い時間と圧力をかけてできた岩石。急激に堆積してできた堆積岩には、生き物や植物が混じり、化石になる事も。
堆積してできる岩石なので、層を成していることもよくあります。
原料となっている砂や泥、礫は山岳地域の岩石が風化・浸食されてできたものであることが多いです。
 

②-A.礫岩(れき岩)

直径2mm以上の粒を含み、表面がデコボコしている。砂利が固まったような岩石。
 

②-B.砂岩

砂岩
直径1/16~2mm以下の粒でできた岩石。ザラザラとした手触り。
 

②-C.泥岩

泥岩
直径1/16mm以下の粒でできた岩石。滑らかな手触り。
 

②-D.凝灰岩

凝灰岩
火山放出物でできた火砕岩の一種で、火山灰が堆積して固まった岩石。ザラザラとした手触り。
 

②-E.チャート

チャート
放散虫といった微生物の死骸などが深海底に堆積してできた岩石。褐色、赤色、灰色、緑色など様々な色のものがあります。ガラス質でツルツルとした滑らかな肌触り。
 

 ミクロハンターキットPLでスマホを偏光顕微鏡化して観察した放散虫

動画内の放散虫プレパラートよりはグレードが落ちますが、いろんな種類の放散虫を楽しめる放散虫プレパラートは以下のページで購入可能です(写真をクリックすると開きます)。
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(放散虫プレパラート)

 

②-D.石灰岩

石灰岩
サンゴ、ウミユリ、貝殻など、炭酸カルシウムの骨格を持つ生物の死骸が堆積してできる岩石。海生生物の化石を含む事が多いです。製鉄に使う副原料やセメントなどの原料として採掘されます。
 

 【豆知識】なぜ深い海でできた岩石が陸地に転がってるの?

チャートや石灰岩など、深い海の底でできた岩石なのになぜ沿岸や陸地で見られるか不思議ですよね。それは理由として2つ考えられます。

①海底プレートが大陸に押し込められる際に、潜り込めなかったものが剥ぎ取られて堆積した。

②地殻変動によってプレート同士がぶつかる事で、かつて海底だったところが陸上に押し上げられてた。
※世界一高い山、エベレストでアンモナイトの化石が見つかるのもそれが理由です

 
 

③変成岩

地球の地下深く、特に火山帯やプレート付近では色んな岩石が混ざり合い、ぶつかり合い、ひしめき合っています。このような場所では、熱や圧力、熱水などの作用も加わって化学反応が起き岩石が変成する事があります。ここでは3種類の変成岩について見ていきます。
 

③-A.接触変成岩

圧力の弱い場所で既存の岩石がマグマと接触し、接触部近辺が熱(500~900度)で変成(再結晶化)したもの。熱の力だけで変成するので鉱物結晶は方向性を持たずランダム。
 
▼代表的な接触変成岩
ホルンフェルス、結晶質石灰岩、スカルン
 

 【もっと詳しく解説】

★ホルンフェルスとは?
主に砂岩や泥岩などの堆積岩が500~600度の熱で変成したもの。ホルンフェルスは「角張った石」という意味。その名前の通り、広域変成岩とは違い各結晶が細粒でランダムな並びをしているため割れるときは角張った形に割れる。
山口県・須佐ホルンフェルス
(上写真:山口県の須佐ホルンフェルス。海底に堆積した砂泥互層に高温のマグマが貫入し、その熱で変成作用を受けてできたもの。)
 
★スカルンとは?
スカルンは、主に石灰岩がマグマ自体や、マグマに含まれていた鉱物などが溶け込んだ熱水に接する事で変成したもの。
スカルン
  

③-B.広域変成岩

巨大なプレート(岩盤)同士がぶつかり合う事で非常に強い圧力(4000~10000気圧以上)が生じ、熱(300~1000度)も加わってその境界で変成したもの。生まれた環境から、結晶の並び方に特徴があり、片状や縞状になっていることが多い。
 
▼代表的な広域変成岩
結晶片岩、片麻岩、グラニュライト、エクロジャイト
長瀞の結晶片岩 隠岐片麻岩
結晶片岩
長瀞
隠岐片麻岩
(隠岐島後島北東部)
 

 【もっと詳しく解説】片岩と片麻岩の違い

片岩・・・既存の岩石が圧力と熱を受けて再結晶化し、細かい鉱物結晶が同じ方向に並んだもの。板状に割れる。

片麻岩・・・片岩がさらに変成作用を受けて鉱物結晶の粒が大きくなり縞状になったもの。

 

③-C.ミグマタイト

ミグマタイト
別名、混成岩とも呼ばる。変成岩と深成岩が混ざり合っているのが見える岩石。
 
 

2.火山岩と深成岩の違い

①組織構造の違い

火山岩と深成岩の違い
 
下はミクロハンターキットPLを使って、スマホを偏光顕微鏡化して撮影した写真です。
 
▼斑れい岩(深成岩の一種)
斑れい岩を偏光顕微鏡で観察
ひとつひとつの結晶が大きく、等粒状組織となっていることが分かります。
 
▼玄武岩(火山岩の一種)
玄武岩を偏光顕微鏡で観察
大きな結晶が少なく、斑状組織となっていることが分かります。
 
ミクロハンターキットPL&スマホで観察
 
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岩石薄片プレパラートセット
 

②性質の違い

火成岩の性質

 【豆知識】深成岩と火山岩はどっちが強い?

どっちが強いかは、「何に対して強いか?」で答えが変わります。深成岩は火山岩に比べて硬い(耐摩耗性が高い)のですが、熱には弱く亀裂が生じやすいです。また風化によってもろく崩れやすくなるという性質があります。
熱や風化によって崩れやすくなるのは鉱物結晶の種類によって熱膨張率は異なるためです。そして、鉱物結晶が大きい深成岩ではこの影響をより強く受けます。温度の変化により結晶同士の結合が弱まっていくことで崩れやすくなるんです。

強度に関していえば、例えば花崗岩(深成岩の一種)は圧縮強度が1500kg/c㎡と極めて高い耐摩耗性を持ちますが、安山岩(火山岩の一種)は1000kg/c㎡と少し劣ります。

 
 

3.岩石、鉱物、鉱石、宝石の違い

調べていると岩石、鉱物、鉱石、宝石などいろんな単語が出てきて混乱する方も多いはず。かくいう私も鉱物と鉱石をごっちゃにしていてTwitterのフォロワーさんからご指摘頂いたことも。
そんなこんなで、自分の為にもここで簡単に解説をまとめてみました。
  • 【岩石】
    熱や圧力で生成された石や岩。大きく火成岩と堆積岩の二種類に分類される。
    ▶火成岩の代表例:流紋岩,安山岩,花崗岩,斑れい岩,キンバーライト
    ▶堆積岩の代表例:礫岩,砂岩,泥岩,凝灰岩,チャート
  • 【鉱物】
    岩石に含まれる天然の無機質物質で、どこをとっても同じ科学組織、結晶構造を持つ。約4700種存在し、化学組成の違いで約11種に分類される。無色鉱物と有色鉱物がある。
    無色鉱物の代表例:石英,長石,斜長石,カリ長石
    ▶有色鉱物の代表例:黒雲母,角閃石,輝石,カンラン石
  • 【鉱石】
    岩石鉱物の中でも人間にとって工業的に価値のある資源を含むもの。化学反応を用いて目的の金属などと取り出し工業利用する。亜炭(炭化度の低い石炭)など昔は鉱石と言われていても現代では役に立たなく鉱石と言われなくなったものもある。
    ▶鉱石の代表例:鉄鉱石,金鉱石,銅鉱石,石灰石、ダイヤモンド鉱石
  • 【宝石】
    鉱物の中でも、特に硬く色や輝きが美しく貴重な物。自然科学的に定義が決まっているものではなく、約4700種類の鉱物のうち約100種類が宝石とされている。基本的には鉱物結晶(無機物)のものがほとんどだが、動植物由来(有機物)のものもある。
    無機物宝石の代表例:ダイヤモンド,ルビー,水晶
    有機物宝石の代表例:琥珀,真珠,サンゴ(鉱物ではない)
岩石鉱石鉱物宝石の違い
※上図は筆者が独自で位置付けをしたものですのでご了承ください。
 

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